ゾル-ゲル法で作製したプロトン伝導性ガラスの先鋭化による室温大気 H+電界放出

摘要

近年、細胞や生体組織にイオンを注入すると、接着性や活性が著しく改善することが報告されてお り、生体·医療分野においてもイオン注入が注目を集めている。特に H~+注入は生物細胞内のエネルギー生産 で H~+の移動を伴うことから細胞の分化促進などへの効果が期待されている。しかし、一般的なイオン注入装 置は、高真空を必要とするため、水分を多く含む細胞·組織はイオン注入過程で失活してしまうという重大 な問題点がある。本研究室ではナノ先鋭化したプロトン伝導性ガラスファイバーをエミッタとして用いた全 く新しいプロトン銃を作製し、Tg以上の 500°C (@10-5 Pa) において H+電界放出を実証した[1]。室温付近で高 いプロトン伝導性を示すガラスであれば室温大気 H+放出も可能であると考えられる。そこで、本研究ではゾ ル-ゲル法で作製されたガラスが室温高プロトン伝導性[2]を示すことに注目し、ゾル-ゲル法を用いたプロト ン伝導性ガラスの作製と先鋭化、および室温大気圧下での H+放出について検討した。