低侵襲内視鏡手術での腹腔内モニタリングシステムに向けた圧力·温度センサデバイスの開発

摘要

近年，内視鏡やカテーテルを用いた，患者への術後負担が少ない低侵襲治療技術開発が盛hに行われている。その一つとして，内視鏡を口などの自然開口部から挿入し，治療および検査を行うことで，治療部位以外への一切の切創を残さない手法，NOTES（Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery）の有効性が高まりつつある。しかし，内視鏡を用いた手術においては，医師が取得可能な情報が視覚に限定されるという問題が存在している。例えば治療時の視界確保を目的とした送気圧が不明な場合，腫瘍サイズ診断における誤診や，過送気による術後の裂傷などのリスクが存在することが経験的に知られている。しかし，腹腔内の局所圧力を取得する技術が無く，これらのリスクの定量的な評価は末だ十分に行われていないのが現状である。腹腔内圧力センサシステムが開発されれば，これらのリスクの定量評価と，治療行為の安全性向上が実現可能となる。システム実現に向けては，内視鏡手術において送気ガスや内視鏡光源により変化する，照度や温度変化に対するロバスト性が必要である。また，胃液をはじめとする体液に対する耐性も必要となる。これまで我々は，この圧力センサシステム実現のため，体内での各情報の耐性を有した圧力センサ実装フードの製作及び動物実験による有効性の検証を行ってきた。本研究では，照度変動，温度変動それぞれに対する耐性を有した圧力·温度センサの製作結果と，各変動に対する耐性の評価結果について，報告を行う。