機能性タンパク質を利用した揮発性化学成分のセンシングシステムの構築とその応用

摘要

生活環境中には口臭·体臭などの生体ガスや住居内の臭気、食品由来の香りなど多様な揮発性化学成分が存在している。その中でも特に、呼気や皮膚ガス等の生体由来のガスには代謝過程で産生される成分や、疾患に起因する化学物質が含まれ、これらを測定·分析することで代謝機能の評価や疾病をスクリーニングできるものと期待される。これらの成分の挙動を調べることにより、代謝機能評価や医療診断への応用が期待されている。生体ガスを利用した診断法として現在、尿素呼気試験法や口臭診断等の呼気を用いた非侵襲的な診断法が用いられているが、これらは呼気採取を要するため連続計測が困難であるといった課題がある。また口臭診断においても、ガスクロマトグラフィや半導体式のガスセンサを用いる方法は、簡便性や選択性に問題があり、さらに医師や匂い診断士などの第三者が患者や測定対象の口臭を直接嗅いで口臭の有無や強度を判定する手法では、嗅覚の個人差により感じる臭いの強さが異なるため医師や診断者の主観に左右されやすく、診断基準が明確でないのが課題である。