地下鉄開業が及ぼす都市構造の変化に関する研究: 複合開発された都市計画道路との関係性に着目して

摘要

近年、全国の大都市では都市機能を損なうことのない公共交通機関として地下鉄の開発がなされてきた。日本では既存市街地に地下鉄を建設する際、公道の地下に通すのがー般的である。建設技術の発展によって交通や都市景観へ与える影響を最小限に抑えることが可能となっているが建設資材や地下鉄の構造物による地上の土地の占有は必要であり、福岡市では都市計画道路のー部車線を利用して開発がなされた。具体的には、福岡市の都心部では既存の広幅員道路を利用し、既存住宅街では既存道路の拡幅エ事と同時に、郊外では新規道路の建設と合わせて行われた。本研究では、地下鉄開業が都市構造の変化に及ぼす影響を地下鉄路線上の道路との関係を考慮した上で明らかにすることを目的とし、福岡市地下鉄七隈線建設をケーススタディとして、路線地上部の開発時期や建設過程が異なる道路との関係に着目し、具体的に駅周辺施設立地、人ロ増減等都市構造に与える影響を多面的視点から明らかにする。