輻射熱分光イメージングにおける物体構造由来の吸光特性モデル

摘要

提案する結像型2 次元フーリエ分光法1)は計測物体自ら発せられる輻射熱の分光イメージングが可能である．我々は，人体から発せられる輻射熱の分光吸光特性により，皮膚の保湿性及び皮膚表面にある皮脂分布の可視化の実現を目指している．物体からの輻射熱分光特性を明確にするために，物体構造由来の多層構造吸光モデルを構築した．本モデルは，計測対象の内部にある熱源を輝点として考え，吸光現象の変化を輝点から表層までの距離関数で表すことができる．皮膚を計測対象として考える場合，皮膚を基板層，皮膚に付着している皮脂を表層として表す．このとき，基板層内部に縦列している輝点が有するエネルギーの総和は，表層への熱源となる．また，中赤外領域において皮膚上に付着している皮脂は高い吸収を持つため，輻射光分光イメージングにより皮脂分布の可視化が可能になる．本報告では，多層構造吸光モデルについて説明した後，計測物体の表層に注目し，表層の厚さ変化により分光吸光特性への影響について検討を行った結果について述べる．