FCD500 材の加工における工具損傷に関する研究－コーテッドサーメット工具の有意性及び高速化

摘要

近年における移動体や高度交通システムを支える構造材として鋳鉄が使用されているが，従来から言われている高剛性·高減衰能に加え，軽量化や低エネルギー化の観点から高強度球状黒鉛鋳鉄（以後FCD と表記)が適用されつつある．しかしその代表的材料であるFCD500 材は隠れた難削材とも言われ，特に高速高能率加工時には工具寿命が著しく低下することが問題視されている．これまでFCD600 材を(Ti，Al)N 系コーテッドサーメット工具を用いて切削速度V=150m/min の条件下では好成績が報告されているが，これよりの高速化は工具寿命が低下する傾向にある．本研究ではFCD500 材を対象に，コーテッドサーメット工具の損傷及び切削条件を高速化した場合の適用について，酸化開始温度を高めたコーティング材料や組織成分が工具寿命に与える影響について検討した．