全方向移動小型加工ロボットの開発

摘要

近年の工業製品は，視覚的な付加価値，防腐及びすべり止め効果などの機能性を向上させるため，表面テクスチャとよばれる微細で不規則な凹凸形状が人工的に付加されている．従来，表面テクスチャはサンドブラストやエッチングなどを用いて作成されていた．しかしながらこれらの方法は，人的コスト及び再現性の乏しさなどに問題がある．そこで，高精度な機械加工によりテクスチャを作成し，上述の問題を解決するための研究がなされている．例えば，1000mm×1000mm 程度の大型の被削材にテクスチャを付加する場合，従来の方式では，それに対応した大型の加工機が必要とされる．さらに，大型の加工機を導入するためにはその分のスペースと高いコストが要求される．本研究においては，平面の大型被削材に対して低コストで加工可能な小型ロボットを開発することを目的としている．今回はオムニホイールを用いた全方向移動可能なロボットにスピンドルと工具を搭載させることにより，上述の目的を達成した．また，開発したロボットを用いた基礎的な加工実験と検証を行い，ロボットにおける切削加工の有効性についての検証を行った．さらに，ロボットを複数台用いて従来の大型加工機よりも高速に加工可能な方式を提案した．