エージェントシミュレーションを用いた組織構成員の認知変化と組織構造の適応化

摘要

本研究では，文化の流布モデルを拡張し，1）空間構造に加え，エージェントの性質に対しても拡張を加えたモデルを提案する．具体的には，組織構成員の認識のかわりにくさ，つまり認知バイアスを考える．また，提案モデルを2）企業組織の慣性力の問題に適用する．ここでは，組織の慣性力を組織内の認識伝播の問題として捉える．そして，認識伝播の要因を組織の諸特性と人事策に求める．最後に，提案したモデルにおいて，3）進化的計算手法を用いて，組織の問題に対して最大のパフォーマンスを示すようなパラメタを求める．本研究では特に，組織内での認識伝播が円滑に進むような組織の人事策に注目し，分析をする．本論文の構成は以下の通りである．2章で関連研究の紹介をし，3章では，本研究で使用する用語の定義を行う．4章で提案モデルの説明をし，5章でシミュレーション結果を提示し，考察をする．最後に6章で本研究についてのまとめを行う．