相反する運動課題の同時学習における干渉に香りが及ぼす影響

摘要

学習の文脈を明確にすることで干渉が軽減される可能性があることは先行研究から知られているが，その方法について十分な調査はされていない．記憶と嗅覚に関連性が見られることから，嗅覚が文脈を明確にし干渉を軽減する可能性について調査を行った．この可能性が示されれば嗅覚という，より容易な方法で学習の文脈を明確にすることができるようになる．被験者15名を対象として，相反する運動課題を用いた心理物理実験を実施した．その際，被験者を2群に分け，一方の群にのみ課題の違いを嗅覚刺激の有無として与えた．課題の違いを嗅覚刺激の有無として与えた被験者群のみで干渉の有意な軽減が見られ，与えなかった群では干渉が見られた．したがって嗅覚刺激の有無が相反する運動課題の同時学習において内部モデルを切り替える文脈として機能し干渉を軽減する可能性が示唆された．