超伝導コイルと磁気センサを用いた非破壊検査用広周波数帯域磁場検出器の開発

摘要

高速道路や橋梁などのインフラの金属部分の腐食や欠陥などの劣化は倒壊などの重大事故につながる恐れがあり，これらを発見する非破壊検査技術が求められている．磁気を用いた非破壊検査は対象物に磁場を印加し，対象物からの二次的な磁場を測定することによって劣化を調べることができる手法である．初期段階で劣化を発見する必要があるため，金属の表面だけでなく内部や裏面の欠陥や腐食も検出できることが求められるが，従来の磁気的非破壊検査では高周波磁場では表皮効果の影響で金属の表面のみしか検査できないという問題があった．また，従来法では対象物と近距離でしか検査することができず，アスファルトに覆われた道路など，対象物との距離がある場合の欠陥の検出が困難であった.表面欠陥は高周波磁場で高速に検査する必要があるが，磁束を深く浸透させ，金属内部を検査するため低周波磁場を用いなければならない．そこで，広帯域の周波数において適用できるように，検出部に従来のようなノーマルコイルではなく少ない巻き数でも低周波磁場に対して良好な応答性をもつ超伝導コイルを用いた．