透過超音波パルスの瞬時振動数に着目したボルトの締結力評価

摘要

ボルト締結において緩みは事故に発展する恐れがあるため，締結力の低下を早期に発見することが望ましい．これまでにボルトの締結力を検査する手法として，打音検査や圧電素子による加振，ボルト軸方向の超音波伝播時間に着目した軸力推定などが検討されてきた．しかし，これらの手法には検査者の技量に依存することや特殊な部品を要すること，適用できるボルト形状が限られることといった制約がある．また近年歯科分野では，チタン製ねじを用いた歯科インプラント治療が普及している．ここでも緩みが発生するとインプラントの脱落や細菌の感染といった問題につながるため，締結力の評価に基づく緩み検査が求められている．しかし，歯科で一般的に用いられるX 線による画像診断では有効な画像を得ることが難しい．さらにインプラント上部は義歯構造で覆われており，上方からの緩み検査は困難である．