近年,工場の生産効率向上のために様々な無人移動ロボットがファクトリーオートメーションにより,多くの生産工場で使用されており,今後もそのようなロボット市場規模の拡大傾向は維持されると予測されている.一般的に工場における無人移動ロボットは,Fig.1に示すように床面に磁気テープを敷設し,それを経路として無人走行をする磁気誘導方式を用いている.工場での作業者と協調しながらの運搬や,運搬地点の柔軟な変更,もしくは工場のレイアウト変更に素早く対応できることは,スマート工場の構築にとって重要な技術である.しかし従来の固定経路方式ではこのような目的を達成することは困難である.そこで,ロボットに合わせて環境を整備するのではなく,ロボットが様々な環境を認識し,その環境に適応しながら作業することが求められる.そのためには,周囲環境についての障害物等の位置情報をロボットがセンサを用いて認識し,それにより構成される環境地図が必要となる.現在,研究されている環境地図構築方法としてSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)がある.SLAMは地図生成と自己位置推定を同時に行う方法である.ロボットの地図作成にはロボットの自己位置が必要となるが,一方で自己位置を推定するためには基準となる地図が必要である.そのため,自己位置と地図の両方が未知環境の場合,自己位置推定と地図生成は同時に行わなければならない.一方,地図生成では人間が操作する必要があり,この作業は操作者にとって負担となっている.このことから,ロボット自身に人間の操縦無しで周囲を移動させ,環境を認識しながら自律的に地図生成をさせることが望ましい.そこで我々は,ロボットが移動したときに得られるセンサデータに基づいてロボット自身が自律的に環境を移動し,環境地図を構築していく方法を提案する.
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