反射型パルスオキシメータにおける脈波信号処理アルゴリズムの研究

摘要

近年，生活習慣病の増加に伴い，心疾患や脳血管疾患等の死亡率が増加傾向にある．生活習慣病を予防するためには，血圧や脈拍といったバイタルサインを日々計測する生体モニタリングが効果的とされている．その測定機器には様々な種類があるが，本研究ではその中でもパルスオキシメータに着目した．パルスオキシメータとは脈拍や血中酸素飽和度(SPO_2)の測定機器であり，得られた脈波データを用いて身体の状態やストレス状態，また血圧測定の可能性もあり，近年多くの研究が行われている．現在一般的に使用されているパルスオキシメータは指先をクリップ式の測定部で挟む透過型が主流となっており，拘束感や圧迫感，そのことによる精神的抵抗を測定者に与えかねない．そこで最近では日用品への組み込みを考慮した反射型パルスオキシメータの研究に注目が集まっている．反射型パルスオキシメータでは拘束からの解放が期待できるが，従来の透過型に比べ，体動などのノイズの影響が顕著に表れる．そこで，複数脈波の重ね合わせによるノイズの除去方法を検討し，血圧推定に有効な特徴量を持った脈波データを取得するためのアルゴリズムの開発を行う．