振動触刺激と静電摩擦刺激を併用した触感ディスプレイを用いた質の高い触感呈示

摘要

タッチパネルの普及に伴って，付加価値としての触感提示機能が注目され，研究されてきた．このような触感呈示機能は触感ディスプレイと言われる．テクスチャを呈示するための触感ディスプレイは，振動触刺激によるものと可変摩擦刺激によるものに分けられる．振動触刺激は，アクティブに指腹を刺激し，変形させる．可変摩擦朿徹は，指腹とディスプレイ装置の間の摩擦を制御す るものである．両タイプは特性が異なり，相補的である．例えば，振動触刺激はアクティブに，可変摩擦刺激はパッシブに，指腹に刺激を与える．さらに振動触刺激は，表面粗さの呈示を得意とするが，可変摩擦刺激は摩擦が支配的なテクスチャの呈示を得意とする．われわれはテクスチャを知覚する際に表面粗さと表面の摩擦の変化を組み合わせている．よって，このような2種類の触感呈示原理の相補的な特性は，両者の併用が質の高いテクスチャ刺激を実現する可能性を示唆する．これまでに，両方のタイプの原理を一つの触覚呈示装置に統合した例はあるが，両方を同時に用いて優れたテクスチャを呈示することを目的としたものではなかった．