ミスト噴霧装置による夏場を含めたガスタービンの更なる増出力対策

摘要

夏場，大気温度が上昇すると，吸気の密度が低下して質量流量が減少するため，ガスタービン（以下，「GT」という．）の出力は減少する．これは，よく知られたガスタービンの基本特性のひとつである．東新潟火力発電所では，大気温度の上昇による出力の低下を抑制するため，電力需要が増大する夏場を中心にGTの吸気入口に散水し，吸気温度を低下させ，出力回復を図ってきた．これにより，吸気温度は約2°C低減し，4MW程度の増出力効果が得られることを確認している．著者らは，吸気温度の更なる低減によるGT 出力の向上を目指して，建築部門や都市環境部門で発展を遂げてきたヒートアイランド現象等の熱環境緩和技術の1 つであるミスト噴霧技術に着目した．この技術は，従来の散水と比較して，より微細な水粒子を噴霧することが可能であるため，効率良く気化熱を奪うことが期待される．本研究は，ミスト噴霧技術を東新潟火力発電所の4 号系列GTの吸気経路へ適用し，吸気温度の低減による増出力効果を確認するとともに，ミスト噴霧技術の導入によるGT機器の健全性を確認したものである．