コアバック式射出発泡成形法を用いた長鎖分岐ポリプロピレン/セルロースナノファイバーナノコンポジット発泡体の作製

摘要

ポリプロピレン(PP)発泡体は安価で断熱性,軽量性に優れた部材であり，近年では自動車部材に応用され，燃費の向上に貢献している.これら発泡体の機能向上にはさらなる発泡倍率の向上が不可欠であるが，発泡による機械的強度の低下を招くため，現状では自動車部材のように強度を必要とする部材に対して高発泡倍率の発泡体の応用は限られている.発泡体の気泡微細化はこの問題解決の方策の1つであり，同時に断熱性の向上も可能であるため，高発泡倍率発泡体の気泡微細化技術の確立が求められている.現在，この達成のために，PPの改質·コンポジット化による粘弾性特性と結晶性の向上について研究が行われている.粘弾性特性が向上した場合，気泡成長の抑制により気泡が微細化される.また，結晶化の促進，結晶の微細化は，結晶が発泡の起点となることから気泡微細化に有効である.本研究では，溶融張力に優れ，発泡時の破泡の抑制により気泡微細化に効果的である長鎖分岐PP (LCBPP)に対し，セルロースナノファイバ(CNF)を添加し，これを増粘剤·結晶核剤として活用することで，微細気泡構造を有するPP高発泡倍率発泡体の作製を試み，その気泡構造にCNFが与える影響を明らかにした.