鳥インフルエンザ感染鶏の病態解析のためのMEMS 血流量センサの開発

摘要

近年，世界中で高病原性鳥インフルエンザの感染が拡大している．2009 年に注目を集めた新型インフルエンザより毒性が強く致死率も高いため，パンデミックが起こった際には大規模な人的·経済的損害を被ることが予想される．我が国においても，数年来鶏における感染が頻発しており，感染経路は渡り鳥からの可能性が高く，感染自体を防ぐことは難しい．そのため，被害を最小限に抑えるためには，鳥インフルエンザのパンデミックを防ぐことが極めて重要である．感染の拡大を防ぐには，感染した鶏の病態を解析し，早期発見に役立てることが重要である．鳥インフルエンザに感染した鶏にはむくみなどの循環器系の障害がみられるため，皮膚表面の血流量に大きな影響が出ることが考えられ，血流量の測定は感染鶏の病態解析に役立つ可能性がある．そこで我々はMEMS (Micro Electro Mechanical Systems) 技術を用いて，感染鶏に装着可能で長時間血流量を測定するために，世界一小型で低消費電力の血流量センサを開発した．本論文では，そのセンサを用いて，感染鶏の血流量と比較するために，健常鶏の血流量を5 日間に渡って測定した結果について報告する．