持続可能社会に向けたビジネス戦略シナリオの設計支援手法（第1報）－ビジネス戦略シナリオ設計支援のコンセプト

摘要

持続可能社会の構築に向けて，製造業は従来の大量生産システムから持続可能なものづくりに移行することが求められている．このように社会全体の環境が大きく変化しつつある中で個々の企業が持続可能な経営を実現するためには，持続可能性の観点を取り入れたビジネス戦略を立案することが不可欠である．その一方で，企業が長期のビジネス戦略を的に立案するための手法としてシナリオが利用されつつある．シナリオは天気予報のような予測とは異なり，起こりうる様々な将来を想定することによって将来起こすべき行動を探索可能とするものである．持続可把性の観点を考慮したビジネス戦略シナリオの例として，リコーはIPCCのEmissions Scenarios等を参考に想定した2050年の社会状況に基づいて，2050年の会社のビジョンを設定するとともにそこに至るための戦略を立案している．本報ではビジネス戦略シナリオを，企業が掲げる将来ビジョンとそのビジョンに到達するための道筋を描いたシナリオと定義し，特にその道筋では企業のビジネス環境とそこで選択しうるビジネス戦略を記述する．