回転体ミラーとリング集光ミラーを用いた2段集光システムのSPring-8軟X線ビームライン導入に向けた光学シミュレーション

摘要

X線ミラーは，色収差なく高効率に集光できる優れた光学素子である数keV以上の硬X線領域ではKB(Kirkpatrick Baez)ミラーによる数十ナノメートルオーダーの集光システムの導入が進hでいる。しかしながら、軟X線領域において理想的な回折限界を達成可能な軟X線集光ミラーは実現されていない．これは、NAを大きくとる必要がある軟X線用ミラーの形状プロファイルが急峻であり、高精度加工が困難になるからである。本山らは，回転体ミラーとリング集光ミラーを組み合わせた二段集光システムを提案した．本システムでは，可干渉性が高く指向性の高い軟X線ビームを取りこぼすことなく高いNAでシングルナノメートルに集光させることが可能である．現在，SPring-8ビームラインでの実証実験を目指し二段集光システムの光学系設計を行っている．本稿では、具体的な光学系の設計値について解説し、そこから予想される集光性能について述べる。また、入射X線の指向性を高めるために提案しているコリメートミラーの性能調査、および可干渉性の調査手法について議論する。