3 方向デクセルを用いた素材形状立体モデルの簡易生成法

摘要

自動車のボディ用のプレス金型は，大型かつ高精度が要求されるため非常に高価であり，NC 加工命令の生成ミスによる加工トラブルは大きな損失を生むことになる．そのため実加工の前に切削加工シミュレーションを行い，加工中に発生し得るトラブルを未然に検出し，NC 命令を修正することが一般化している．プレス金型の切削加工では，素材として鋳物を用いることが一般的である．鋳物は金型形状に一定の取り代を付加した形状となるが，その作成は鋳物工場に任されており，事前に素材形状の CAD モデルを作成することはない．そのため切削加工シミュレーションの際には，素材形状の立体モデルを新たに用意する必要がある．具体的には，プレス金型の製品形状の CAD モデルに，取り代に相当する分のオフセットを加えたモデルを生成することが多い．立体モデルのオフセットは非常に計算コストの大きい処理のため，このような手法による素材モデルの生成には多大な時間を要する．また計算中に数値誤差に起因する問題を起こしやすく，形状の生成に失敗することも多い．プレス金型の切削加工シミュレーションをさらに普及させるためには，素材にあたる鋳物形状の立体モデルを高速かつ安定に生成する手法が不可欠と言える．