小指サイズのワンショット赤外フーリエ分光イメージング装置（第3報）－日本酒のアルコール度数の定量化計測

摘要

我々は, 小指サイズのワンショット赤外フーリエ分光イメージング技術1)による, 日本酒製造現場でのアルコール度数とグルコース濃度の定量化計測の実現を目指している．今日の酒造メーカーで使用している計測器はFig.1 の上側に示すようなガスクロメータや振動密度計といった可搬性の低いものである．日本酒は製造過程において毎日, 成分計測を実施するため酒造現場へ持ち込むことの出来る, 小型の可搬性が高い機器の開発は酒造者の手間を軽減することが出来る．我々の提案手法は構成部品が少ないため超小型化が可能になり, Fig.1 の下側のように酒造現場で直接酒樽の中に入れて使用することが出来る．また, 日本酒はアルコール度数やグルコース濃度に加え, アミノ酸や脂肪酸といった様々な成分含有量を調べなくてはならない．そのため, 計測したい成分に合わせて高価な機器を何種類も買い揃えなくてはならない酒造メーカーの負担は大きい．しかし, 本手法はフーリエ分光計測を用いているため多成分同時計測が可能であり, 酒造メーカーの負担を軽減することが出来る．さらに, 日本酒のアルコール度数は酒税法により0.01[vol%]の高精度計測が求められているが, 我々の提案手法ならば高精度計測が可能である．本報告では小指サイズのワンショット赤外フーリエ分光イメージングとアルコール度数の定量化について述べる．