細胞機能解析のためのナノニードル搭載型バイオプローブの開発（第9報）－細胞内表面増強ラマン散乱イメージングの基礎的検討

摘要

原子間力顕微鏡（AFM）は, 大気中のみならず液中においても試料の凹凸形状をナノメートルオーダの分解能で測定可能であることから, 生体分子や細胞の機能解析用のツールとして, 医学·生物学分野での応用が拡大している．本研究では, AFM プローブの先端に中空構造を有する先鋭化ナノニードルを形成することで, 従来のAFM がもつ形状計測·物性評価機能に加えて, 生体分子（DNA やタンパク質など）の注入や採取が可能となる新たな機能を付加したバイオプローブの開発を行っている．本報では, 作製したバイオプローブを用いた細胞の力学的特性評価を行った．また, 低侵襲での細胞膜穿孔を実現するための振動援用効果を検討した．さらに, ナノニードル表面にAg ナノ粒子を固定化することで, 細胞内の表面増強ラマン散乱（SERS）イメージング機能を付加するための基礎的検討を行った．