逆解析による電子ビーム積層造形物の固有ひずみ評価手法

摘要

金属の積層造形技術において，積層造形中に生じる収縮や反りなどによる肉厚のショートは設計上許容できないことが多く，変形の予測が重要となる．解析負荷の観点から，ボクセルメッシュなどを用いた固有ひずみ法解析が変形予測に有効であり，解析インプットである固有ひずみ値をどのように決めるかが，解析精度にとって重要となる．選択的レーザー溶融法（SLM）においては，実際に造形した基礎片を切断し，面外スプリングバック量から固有ひずみをフィッティング解析により導出する方法が報告されている1）．しかしながら，この手法は，造形物中に弾性ひずみが残存している場合に可能なものであり，予熱工程で弾性ひずみが緩和される電子ビーム積層造形（EBM）においては，有効とはならない．そこで本研究は　EBMにおいて固有ひずみを導出できる手法を，多層体モデル固有変形論に基づく逆解析手法によって提案する．