原子力発電所におけるシビアアクシデント時の環境への放射性物質の放 出リスクの評価手法の開発 （１）事故時の環境への放射性物質放出量 評価ツール·ソースタームPRDの概要と開発状況について

摘要

1. 万が一原子力発電所が炉心溶融を伴う重大事故 （シビアアクシデント）に至った場合には、環 境へ放射性物質(FP)が大量に放出される可能性 がある。事故時に環境へ放出されるFPには様々 な核種が存在するが、中でもセシウムは揮発性 が高く発電所外に放出された場合に広範囲に飛 散する可能性があり、さらに放射性崩壊の半減 期が長いことから長期間にわたり土壌汚染など の影響をもたらす。このような観点からセシウ ムは環境影響評価を行う上で重要物質の一つと 言える。 2. 事故時に溶融炉心から放出されたセシウムは主 にエアロゾル状で浮遊し、各場所への沈着や再 蒸発効果、スプレイ除去効果などを経て格納容 器(CV)外に放出され、最終的に環境へ放出され る。環境へのセシウム放出量を精度よく評価す るためには、このようなCV内の複雑なセシウム エアロゾル挙動を適切に評価する必要がある。 本研究では、原子力発電所の事故時のCV内のセ シウムの挙動を適切な評価可能で、かつ動的リ スク評価など高度な手法に適用な可能な環境へ の放出量を評価するための手法（ソースターム PRD）の開発を行った。