微小櫛形電極を用いた導電率測定と全有機炭素分析への応用

摘要

マイクロ化学チップの特徴は，マイクロチャネルと呼ばれる微細な流路によりミクロンオーダーの化学反応空間を形成し，従来のマクロスケールの化学反応では得られない高効率，高収率，省エネルギーな反応プロセスを実現することにある。本研究では，微小流路内での分析対象として，超純水の管理指標として用いられている全有機炭素量（TOC）に着目した。一般にTOCの分析には，公定法である燃焼酸化·赤外分析方式が用いられているが，この測定原理を利用した装置は，高価で大型なものとなり，測定原理上，連続分析が困難であることから，簡易法である紫外線酸化·導電率測定方式が注目されている。同方式は，簡易な構成で連続分析が可能であり，比較的安価に装置を作製できることから，各方面でニーズが高まっている汎用·携帯型のTOCモニタのベースとなる測定原理として期待されている。そこで本研究では，紫外線酸化·導電率測定方式を用いた小型TOCモニタの開発を最終的な目標として，TOC分析用マイクロ化学チップの要素技術開発，開発素子を用いた応用技術開発に取り組hだ。