経皮電気刺激を用いた筋力生成の力覚提示としての有効性に関する検討

摘要

手動制御系や遠隔操縦系において, 反力などの力覚提示が作業性能を向上する効果をもたらすことが知られている. この力覚提示を, 機構的な制約を軽減し柔軟に実装する手段として, 麻痺肢の機能再建や健康器具に使われる経皮電気刺激による筋力生成を利用する手法(Force Presentation by Electrical Stimulation, 以下FPES)が提案されている.これまでに, 遠隔操縦系での反力提示や, 仮想的な操作器の実現などの用途で, 作業上の有用性が実験によって確認されている．しかし, 運動生理学的な観点での議論は十分でなく, 力覚としての効果には検討の余地がある.そこで本報告では, FPES を加えた際に人が感じる力覚や運動覚について運動制御系のモデルに基づいて考察し,実際の外力が働いた場合との等価性や差異を論じる. これにより, 従来報告されている結果を説明した上で, モデルや考察結果の妥当性を検証する実験について述べる.