背景差分を用いたアスベスト計数法の精度向上のための背景画像のノイズ除去

摘要

アスベストを大量に曝露することにより、悪性中皮種等の健康被害を引き起こすことが近年明らかになった。このように深刻化するアスベスト問題の対策として、建材中にアスベストが含まれているか否かを調査するアスベスト分析が広く行われている。このアスベスト分析のうち含有の有無を判定するための定性分析の一つに分散染色法があり、公定法によると商業的に使用されている三種類のアスベストについて三つの標本を作成し、計9000 個の粒子を計数しなければならない。この標本の一部をFig. 1 に示す。現在これらのアスベスト結晶及び粒子の計数を目視で行っているため大変な労力と時間を要し、アスベスト分析作業を非効率化させる最大の要因となっている。この様子をFig. 2 に示す。迅速かつ高精度な分析を行うためノイズを除去し、二値化するという手法が花粉の自動計測[1] や土壌細菌のスクリーニング[2] 等で利用されている。そこでこの手法を利用した背景差分法による自動計数法(小森ら2007[3]) が提案されたが、背景画像に含まれるノイズの影響により粒子計数誤差の分散が大きくなり正確な計数が出来ていなかった。本研究は画像処理を用いた粒子計数手法の精度向上を目的とし、背景画像にガウシアンフィルタを適用してノイズ除去を行う。以下に背景差分を用いた自動計数法及びガウシアンフィルタの適用について述べる。