低温金型を用いた薄肉AC4C鋳物の湯回り性と組織

摘要

自動車産業において，現在注目されている環境問題に有効な手段として軽量化が挙げられる。鋳造分野では薄肉で高強度の鋳物を得ることが一つの目標である1）。 多種少量の生産を考えたとき，コストの低減を図れる金型重力鋳造は魅力的である。しかし，金型鋳造の湯まわりは一般的に悪く，薄肉鋳造品を製造することは困難である。湯まわり性向上や湯境等の欠陥の防止のため，金型温度は高く設定される。ここで金型温度を低くすることができれば，急冷により高強度の鋳物を製造できる可能性がある。一方，低い金型温度や薄肉鋳物を製造する際，良好な湯周り性の確保が重要となる．そのため，製品に対しゲートを多く設ける方案（以下，マルチゲート方案という）がひとつの有力な手段であるが，溶湯合流部における湯境が問題となる．