大気圧プラズマアシストフラックス法による透明導電用ZnO結晶薄膜の高速成膜

摘要

酸化亜鉛（ZmO）は，ウルツ鉱型構造をもつn型半導体である。特に，導電性，圧電性および発光性に優れるため，さまざまな分野で活発に研究されている。そのバンドギャップは約3.3eVであり，可視光領域で透明であるため，透明導電材料としての期待が高い。なぜなら，透明導電材料として現在多用されている王TO（In_2O_3：Sれ）は，主成分のインジウムの枯渇が懸念されるためである。ZnO薄膜は，ゾルゲルう乳噴霧熱分解法，マグネトロンスパッタ法あるいはパルスレーザー堆積法など，さまざまな方法で作製されている。しかし，その結晶性を高めることや生産性を向上することなどが課題としてあげられる。本研究では，大気圧プラズマアシストフラックス法により，ZnO結晶薄膜を作製することを目的とした。フラックス法は溶液からの結晶育成法の一種であり，目的物質の融点よりもはるかに低い温度で，高品質な結晶を育成できることが最大の特長である。また，大気圧プラズマは，高密度なエネルギーを短時間で供給できる。本研究の大気圧プラズマアシストフラックス法は，これらの特長を活かしたきわめてユニークな結晶薄膜形成手法である。さらに，ZmO結晶薄膜の形状に影響を及ぼす因子の制御も試みた。