マイクロバブルを用いた水／油バブルカラムによる気相汚染物質の液相捕捉に関する研究

摘要

バイオマス燃焼や工場から大量に発生するガス状汚染物質や粒子状汚染物質は、大気汚染や健康被害を引き起こす原因となるため、排出量の削減が求められている。一般的に気相汚染物質は水スクラバー法によって処理されることが多い1)。スクラビング処理はガス吸収処理とも言われ、汚染物質を選択的に吸収剤に吸収させることで空気中から汚染物質を除去する方法である。従って、対象となる汚染物質はスクラビング液に対する溶解性を持っている必要がある。しかし、気相汚染物質中には水溶性が低い特性（疎水性）を持つガスや粒子が混在するため、バイオマス燃焼や工場由来の排ガス処理において水をスクラビング媒体として使用することは不適当である。スクラバー法では、粒子は主に①慣性による衝突?付着と②拡散による付着によりスクラビング液中に捕捉される。粒子径が約1 μm 以上のときには慣性衝突、約0.1 μm以下では拡散による粒子の移動が支配的であるとされている。従って、これらの力が働かない大きさ（0.2 μm前後）の微小粒子は、スクラバー法での除去は困難であり、Cadavid-Rodriguez ら(2014) は、気泡塔を用いたナノ粒子捕集を行った際、捕集効率は約200 nm で最小値を示したと報告している2)。また、スクラビング液中に捕捉した粒子が含まれていると、スクラビング液を系内に循環させる際に、ノズル部で目詰まりを起こす可能性がある。以上より、対象汚染物質の物性（親水性や疎水性等）や粒径によらない効果的な処理法が必要とされる。