サッカーボール後流のPIV解析

摘要

近年の球技スポーツでは，ボールのパネル形状が大会を追うごとに変化し，ボールの軌道に大きく影響することで試合の内容や戦術も変わってきている．に変化し，ボールの軌道に大きく影響することで試合の内容や戦術も変わってきている．の中でも，サッカーの試合で無回転または低回転で放たれる通称“ブレ球”が注目されている．無回転または低回転で放たれたボールは不規則な軌道を描き，選手本来の技術が反映されないことや狙った所にボールをコントロールするといった青少年の技術向上に好ましくないという問題があり，選手の技術や意思が反映される新型ボールが求められている．そのためにもブレ球現象の解明が必要である．Tanedaの超臨界領域での可視化実験により，ボール後流には馬蹄の形をした帯状の3次元双子渦が発生していると推測され，ブレ球シュートを引き起こす要因は，ボール後流にできる3次元双子渦の間に発生するジェット流が大きく影響していると考えられている．Hongらは飛翔するサッカーボールナックルボールシュート後流の渦の生成を可視化し，その変化は3.5Hz程度と述べている．著者Itoらはサッカーボールのパネルの非対称性と回転による後流の変化がブレ玉シュートの要因のひとつであることを述べている．パネルの違いによる飛翔特性に関してHongらによって空力特性とその非定常性が異なることが報告されている．このようにパネルの異なるサッカーボールの空力特性について調べたものはあるが，その空力特性の成り立ちあるいは流れ場を同期させて調べたものはない．本研究では，Stereo3D-PIVと3分力計を同期させることによって，ブレ球発生速度域において，サッカーボール後流にできる3次元双子渦をPIV解析し，同時にボールの流体力変動を計測し，ブレ球シュートの現象解明を行った．