長手方向に傾斜機能特性を有するテーパはりの大たわみ

摘要

自然界の生物の形態や材料組織は複雑であるが，長い年月を経て進化してきたことから，それらの現在の姿は，環境への最適化が行われた結果であると考えられている.樹木の強靱さやしなやかさもその例に漏れず，自然環境へ適応して獲得ないし発現した形質と考えられる.さらに，最近では，植物の微細組織を構成しているセルロースから作製されたセルロースナノファイバーが，比強度の大きい新しい材料として高い注目を浴びている.このように，生物の構造や形態および組織構造を観察しその力学的特性を明らかにし，さらにその結果を構造設計へ応用することが期待されている.そこで，本研究では，大たわみ状態の下で，植物のもつテーパ性や縦弾性係数の傾斜機能性がその変形や応力に及ぼす影響について調べる.