縦渦により駆動される垂直軸型円柱翼風車における動力特性の解明

摘要

流れに直交する円柱の後流に平板を十字交差配置させると，交差部付近から縦渦が周期的に流出する．我々は，円柱が平板に沿って平行に移動するとき円柱の後方に縦渦が定在的に形成され，円柱には定常的な揚力が作用することを見いだした．この現象を利用し，円柱を動翼として縦渦により駆動する図1（a）に示す水平軸型風車を開発した．Sakamotoらは，1本の円柱を動翼とする単独円柱翼水平軸型風車の回転に関する形状因子の影響，および多翼型風車における翼枚数と動力特性の関係を明らかにした．我々は，円柱翼後ろに縦渦が定在的に発生すると，円柱翼は回転力を得るという原理を垂直軸型風車に利用し，縦渦により駆動する垂直軸型円柱翼風車を開発した．図1（b）に示されているように円柱翼が円板上に取り付けられ，円板内には平板の代替となる円筒状のリングが設置してある．これにより，円柱翼とリングの交差部近傍にはリングに沿ってネックレス状の縦渦が発生する．回転方向は初期の回転方向に依存し，左右のどちらにも回転することが可能である．本研究では，リングの形状因子および実験条件を変化させることで，水平軸型円柱翼風車の基本的な回転，動力特性を解明する．