天売·焼尻島エコアイランドに向けたクリーンエネルギーシステムの開発（電力品質の検討）

摘要

現在，日本の離島での電力供給の大部分はディーゼル発電で占められている．しかしながら一般的なディーゼル発電機では重油等の化石燃料を使用するため，二酸化炭素の排出や燃料の輸送にかかる費用が課題となっている．そのため近年では，離島内への再生可能エネルギーの導入が積極的に行われている．そこで本研究では，北海道北部に位置する天売島と焼尻島への導入を想定した再生可能エネルギーを伴うマイクログリッドについて検討する．現在の天売島と焼尻島では，焼尻島に設置されているディーゼル発電機によって電力が供給されている．天売島内には発電設備がないため，焼尻島から海底ケーブルを介して天売島へ送電している．また，両島では各住宅に灯油暖房機が設置されている．したがって天売島と焼尻島では，二酸化炭素の排出を抑えたエネルギーシステムの設置が課題となっている．以上から，本研究の目的は，再生可能エネルギーを主とした天売·焼尻島マイクログリッドを構築することである．しかしながら，システムの再生可能エネルギー割合が増加すると，その出力変動によって送電網での周波数変動が大きくなり，規定に定められた値で運用できなくなる．そのため本稿では，提案システムの周波数変動を解析によって調査し，天売·焼尻島マイクログリッドでの太陽光発電と風力発電の導入量の最適な割合を明らかにする．