シリンドリカル3Dプリンタによるアルキメディアンスクリューの印刷と印刷性能の評価

摘要

我々は，アルキメディアンスクリューのような大きな張り出し部分を有する円筒形状の造形に特化させた新型3Dプリンタ「シリンドリカル3Dプリンタ」を開発している．その一番の特徴は造形面が円筒状になっている点である．通常の熱溶解積層方式の3Dプリンタは，造形物本体から張り出した部分を有する印刷物の造形の際，吐出した樹脂が垂れ落ちないように張り出した部分の下に支えとなるサポート材を造形しなければならない．張り出す部分が大きいほど余計にサポート材を造形しなくてはならないため，アルキメディアンスクリューのような印刷物では効率的に造形ができない．我々は，本件とは別の研究で足回りにアルキメディアンスクリューを採用した移動機構の開発を行っているが，一般的な熱溶解積層方式3Dプリンタで移動機構に必要とされるスクリューを作成したところ，印刷と部品の仕上げに多大な時間がかかり1セット揃えるだけで数か月を要してしまった．このため，当初の計画であった実験計画法による最適スクリュー形状の導出まで至らなかった．提案しているシリンドリカル3Dプリンタの実現により，スクリュー部品の印刷と仕上げの時間を大幅に短縮することが期待できる．