サイフォンのようにして用いる金網とフィルムからなる表面張力を用いた微小定流量給水装置の開発

摘要

微小流量を制御して供給する装置としては，チューブポンプやダイヤフラムポンプなどが市販されており，表面張力を用いて液体を循環させる装置としてはヒートパイプなどがある．本研究の目的は，電気機器を用いずに，安価に流量を制御しながら微小流量の水を供給する装置を構築することである．水槽を水で満たして，その縁に細い針金で編まれた金網をアーチ状に掛けて，網目に水の膜を張りながらビニールシートで覆うと，継続的に水が水槽の外に流出することがわかった．この現象は針金とビニールシートの隙間にできた水の層を通って，継続的に水が流れ続けると考えられる．この水の層の中では重力ならびに水の粘性による圧力損失のために，負圧となるが，この負圧を支えているのは表面張力である．この現象を利用してサイフォンのようにして用いる微小流量供給装置を開発することを試みる．そのために，このシステムの流量特性を実験的に調べ，さらにその流量特性を予測できる理論モデルを構築する．