Arプラズマ照射によるカーボンナノチューブ電極の表面構造制御およびその電気化学特性評価

摘要

小型デバイスの次世代用電源としてグルコース燃料電池が注目されている．グルコースは，サトウキビやトウモロコシなどの植物の光合成により生産されるため持続可能な燃料である．また環境に優しい，安価，取り扱いやすい，生産性が良いといったメリットが存在する一方で，燃料電池用の燃料としては，出力が不十分であるといった課題が挙げられる．その解決策として，比表面積の大きいカーボンナノチューブ（CNTs: Carbon Nanotubes）を，カーボンペーパー電極上に塗布し，電極表面積の拡大を図ることで，電流密度が向上することが報告されている．しかし，更なる出力向上のためには単なる電極表面積の拡大だけでなく，燃料供給に適した構造寸法を考慮した電極構造の最適化が求められる．そこで本研究では，燃料電池の高出力化に向けた高性能電極を作製するために，三次元構造を有する電極の構造寸法が電極性能に及ぼす影響について検証する．具体的には電極上に化学気相成長法(CVD: Chemical Vapor Deposition）を用いて垂直配向CNTsを合成し，間隔の異なる凝集構造を作製することで構造寸法が電極性能に与える影響を検証する．