油不足条件において添加剤が引き起こす凝集作用

摘要

機械要素のしゅう動面は，潤滑膜により表面の直接接触が妨げられており，十分な潤滑膜の形成の度合いがその性能を左右する．油量が制限されるような機械ではときには油不足となり，摩擦面間の直接接触が生じるようになる．油不足状態では油膜厚さが形成されにくくなるため，境界潤滑領域へ遷移しやすくなる．境界潤滑下では，潤滑基油に添加剤を加えることで潤滑特性の改善が図られる．しかし，添加剤の混入により潤滑油内に極性分子が存在すると，潤滑軌道上で凝集が起こり，潤滑特性に影響をおよぼすことが懸念されている．そこで本研究では，油不足条件において添加剤が引き起こす凝集作用が潤滑特性におよぼす影響を調査することを目的に実験を行った．