刃先の硬さ分布付与によるCFRP切削工具の摩耗制御と長寿命化

摘要

本研究では，上記の「耐摩耗性の向上による工具長寿命化」という既往の考え方とは異なる新たなコンセプトとして，「刃先の自己研磨作用による工具長寿命化」を提案している．具体的には，CFRP切削工具を対象として，工具刃先を2種の異なる材料によって作製することにより，刃先近傍に硬さ分布を有する自己研磨切削工具を開発した．同工具は，刃先最先端は硬度（耐アブレシブ摩耗性）の高いPCD（多結晶ダイヤモンド）もしくはCVDダイヤモンド，逃げ面は硬度（耐アブレシブ摩耗性）の低いWC-Co（超硬）を配することで，刃先先端ではなく逃げ面側に摩耗が局在化させるように設計されている．本報では，同自己研磨工具を用いたエンドミル加工実験を行うことで，自己研磨作用の有効性について検討した．以下，その詳細を報告する．