平等電場を利用した油中の過冷却水滴の凍結促進（滴と電極板の接触挙動と凍結開始）

摘要

液液直接接触熱伝達は，小温度差の熱エネルギーを利用するために有効な伝熱法である．しかし，液一液直接接触伝熱法を用いて油中の水滴を凍結させる場合，過冷却現象が問題となる．ところで，電場を付与された油中に注入された帯電水滴は，電極板との衝突時に電荷を交換し，電極板間の往復運動を継続して，繰り返し電極板と衝突することが知られている．この衝突を水滴の過冷却現象の低減に利用することが著者の一人により提案され，この方法が油中の過冷却水滴の凍結開始に有効であること，その凍結開始条件，凍結相対度数などの巨視的な特性が，これまでに報告されている．しかし，現在のところ，この方法による過冷却水滴の凍結開始に関しては，明らかにされているとは言い難い．本研究の目的は，水滴と電極板の接触挙動，接触面積の変化，凍結開始位置と時期，滴内部での凍結の進展等を明らかにすることである．透明電極を使用した実験の結果，この電極板を通して接触挙動や，凍結開始現象の一端を観察できたので報告する．