海底面の砂漣を介した放射性物質の流入出過程

摘要

東京電力福島第一原発事故から6年以上が過ぎ，周辺海域の海水中の放射性核種の濃度は事故前のレベルに近づきつつある.一方，海底堆積物の放射性核種濃度は，比較的高いレベルを維持しており，水産生物への影響が懸念されることから残された課題の一つとなっている.福島周辺海域の海底堆積物中の放射性核種濃度については，これまでの調査で空間分布や経時変化の特徴が明らかになりつつあるが，そもそも海底内部に放射性核種がどのように浸入し内部で濃度分布が形成されたか，また時間とともにそれがどのように変化するかについては不明な点が多い.一方，微地形(砂漣)が発達した海底面においては，砂漣表面を介した水や物質の流入·流出現象が生じることが，既往の研究により確認されている.そこで，本研究では，砂漣が発達した海底面を対象として放射性核種の底質内部への流入·流出過裎を水理実験と数値計算の両面から検討した.