蝶を模した羽ばたき翼-胴体モデルにおける胸部に対する腹部の相対運動によるピッチング回転制御

摘要

蝶や蝿といった昆虫の羽ばたき飛翔は，生物学においてだけでなく，航空力学においても興味深い問題である．近年では，羽ばたき飛翔は，垂直離着陸や空中停止飛行（ホバリング）が可能であり，急旋回や急発進，急停止等の運動特性に優れているという点から，超小型飛翔体（Micro Air Vehicle，MAV）の推進機構の一つとして注目されている．実際に最近では，蝿の羽ばたき運動を利用したMAVや，クラゲの動きを参考にして羽ばたくMAVなどの自由飛翔に成功する例が報告されており，羽ばたき飛翔のMAV への応用が盛hになってきている．このような工学的応用が，昆虫の羽ばたき運動を研究する大きな動機付けの一つとなっている．本研究は，まずモデルの翼形状を正方形から実際の蝶の翼形状に変更することで，自由飛翔におけるピッチング回転制御への影響を調べる.次に，翼形状を変更したモデルを用いて，Janatella leucodesmaを想定した計算パラメータで，自由飛翔におけるピッチング回転制御への影響を調べる.