整列型形状転写装置による水晶片の高能率仕上げ加工法

摘要

現在，システムやデバイスにおいて，通信周波数の有効活用·情報通信の多様化·コンピュータ処理技術の高度化·機器のパーソナル化やポータブル化などが要求されている．これらの要求を満足させるため，周波数制御·選択として使用されている水晶デバイスを周波数安定性および信頼性を向上させつつ小型化と量産化を図らねばならない．小型化が容易で温度特性の良い短冊状のAT カット水晶振動子が現在よく使用されているが，小型化に伴い輪郭からの反射による副振動の発生が周波数特性やQ 値に悪影響を及ぼす．この問題の対策として，水晶片の面取りや凸面化により，振動エネルギーを振動子中央部に閉じ込めて輪郭系振動を減衰させることが行われている．水晶片の両凸面化にはバレル加工が利用されている．バレル加工とはFig．1 に示す様に，研磨剤と水晶片を円筒の中に入れて回転させることにより水晶片表面に円筒内壁のR を転写する加工方法である．しかしながら300 時間程度と加工時間が長く，研磨剤が干渉して円筒内壁のR を正確に転写できないことが問題となっている．そこで本研究では，加工効率の向上と正確な形状転写の達成を目的に，新しい加工方法として整列型形状転写法を提案し検討した．