サービス工学に基づくサービスCADシステムの構築（第57報）－設計プロセスの効率と信頼性を向上させる設計ナビゲート機能

摘要

地球環境，経済状況の変化を受け，高い付加価値を創出するために製品とサービスの高度な統合をいかに実現するかが重要視され始めている．それは産業界のみならず，学問領域としても注目されており，近年では科学の対象としてサービスを取り扱う研究が多方面で展開されている[1]．著者らが提案するサービス工学は，工学的な観点からサービスを扱い，サービス特有の性質に留意しつつ，サービスを設計するための具体的な方法論を提供することを目的としている[2]．また，著者らはサービス工学で提案した方法論に基づくサービスの表現，設計，解析·評価等の機能を備える設計支援システムであるサービスCADのプロトタイプをこれまでに開発している[2][3]．本CADを用いたサービス設計支援の有用性については実事例に基づく検証を幾度か実施しているが[4]，本CADを用いた設計の効率性には未だ改善の余地が存在する．前報までに著者らは開発を進めているサービスCADによる設計の効率向上を目的とし，サービス設計プロセス[4]を具体化したサービスCADシステムの利用手順とそれに基づく適切なシステム利用を支援する設計ナビゲート機能[5]を提案·実装した．しかしながら，ナビゲート機能の有用性に関する検証は未だなされていない．そこで本稿では，同ナビゲート機能の検証を行い，その結果を踏まえて，設計ナビゲート機能の強化指針を明らかにする．