能動化学センシングシステム開発に向けた噴流による化学物質の引き寄せ効果の調査

摘要

本研究では、不発機雷などから漏れ出た化学物質を辿って、その発生源を探索するロボットの開発を目指し、匂いを辿って餌を探すザリガニの行動に着目している。ザリガニは口元に、顎脚と呼ばれる3対の扇状の付属肢を持つ。これを振って左右に噴流を作り出すと、周囲の流体が噴流に巻き込まれる。その結果、噴流に向かう流れが形成され、流体と共に匂いが引き寄せられる。これによりザリガニは、餌を探索する際に高感度に匂いを感知できると言われている。また、顎脚を振る方向を変えて、噴流の向きを変え、様々な方向から匂いを引き寄せることができる。餌を探索して自由に歩行しているザリガニは、直進時には両側の顎脚を振り、転回時には転回方向とは逆側の顎脚を振ることが分かっており、噴流の方向を適応的に変えて、匂いを効率良く集めている可能性がある。ザリガニの能動的な噴流生成の効果を解明できれば、噴流を用いた能動化学センシングシステムの開発に役立つ。そこで本研究では、ザリガニをモデル化した装置を用いて、噴流の生成方向を切り替えることが匂いの引き寄せに与える効果を調査した。