介護用パワーアシストリフトの被介護者における身体的負担の評価

摘要

少子高齢化が急速に進行する現代社会において，介護者の精神的·肉体的負担の軽減が課題となっている。在宅介護の現場において，被介護者を持ち上げる動作は，入浴等の場面で頻出する動作であり，電動アクチュエータを用いた負担軽減の手法が報告されている。現在，パワーアシスト介護システムは高額であり，その普及のためにはより安価且つ高性能なパワーアシスト介護システムが求められている。以上の背景の下，本研究は在宅介護を想定したより安価な介護用電動パワーアシストシステムの実現を目的とする。対象とする介護用パワーアシストリフトは高価な力センサを用いず，介護者が与えた操作力を操作力推定オブザーバにより推定する。そして，獲得した操作力推定値からインピーダンス制御に基づいて装置に与える位置指令値を生成する。介護用パワーアシストリフトは位置指令値に基づいて昇降し，操作者の肉体的負担を軽減する。ただし，パワーアシスト介護システムは被介護者に精神的負担を与えないことが望ましい。介護用リフトの場合，リフトの速度·加速度が大きいほど，移乗する被介護者の驚きに与える影密が大ききことが報告されている。本研究は，対象とするリフトの昇降運動が被介護者に与える精神的負担について評価を行う。