複数の同業者の存在を考慮したエネルギー事業者単位のマルチエージェント型世界エネルギーモデルの開発

摘要

当研究室ではDNE21 に代表されるような地球温暖化対策に主眼を置いた世界最適化型エネルギー需給モデルの開発、研究が行われてきた。これらのモデルでは「世界全体でのコスト最小化」が行われ、世界が一つの意思を共有し、協力することで得られる結果を示すこととなる。しかし現実世界においては、各地域、各事業者が自分自身の利益を求めて行動決定を行っており、互いに競合関係にある。本研究ではDNE21 モデルを用いて、一つの地域に複数のエージェントが存在し、互いに競合するモデルの開発を行った。分業化された各事業者をエージェントとし、互いに競合するマルチエージェントモデルを開発することで、より現実に近いシミュレーションが可能になると考えられる。そしてシミュレーション中における戦略選択の様子をみることで、各事業者の有効な戦略に対する知見を得て、また選択された戦略と各資源価格の変化の関係から、現実世界における資源取引の均衡価格決定の要因、メカニズムの解明に対する知見も得られると考えている。