生体の視覚系に学hだ物体追跡機能のアナログ電子回路化

摘要

ロボットビジョンや視覚代行装置において、動画像を実時間で処理することは必要不可欠である。しかし、逐次処理型コンピュータを用いた画像処理システムでは、直列演算により情報を処理するため、実時間での動画像処理を実現することは難しいと考えられている。一方、生体は、階層構造を持つ神経細胞が並列に情報を処理することで、実時間での画像処理を可能にしている。これまでに、昆虫の視覚系に基づく相関型動き検出モデルに学hでアナログMetal Oxide Semiconductor (MOS)回路が考案された。また、網膜に学hで動き検出を行うアナログ回路が考案されている。これらの回路は非常に素子数が少なくシンプルな構成で、かつ低消費電力といった特徴を有する。これらの回路を用いて物体追跡などのシステムを構築すれば、非常にシンプルな構成になると考えられる。本研究では、シンプルな物体追跡を行うアナログMOS回路を構築することを目的とした。考案した回路は、電子回路シミュレータ(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis: SPICE)を用いた結果より、物体の速度情報を生成することが明らかになった。また、テスト回路の測定結果より、システムが物体を追跡することが確認された。