直流電気鉄道における架線 - パンタグラフ間アークによるトロリ線断線現象の極性効果

摘要

本稿では、一連の試験の中で比較のために行った、アークの極性を逆転させた場合の断線しやすさへの影響を確認した試験とアーク走行試験の結果についてまとめる。アーク中、電子が衝突する陽極（直流電気鉄道の場合はトロリ線）へは、陰極（すり板）に比べてより大きな熱が伝達されると予想されるが、試験結果はこのことを顕著に裏付ける結果となった。また、すり板に残されたアーク痕の様相やアーク走行の様子も極性により顕著に異なっており、断線事故発生時の原因究明にも資するものであると考えている。