MRF（磁気粘性流体）を用いた動力伝達機構の開発

摘要

小型で制御がし易く、高応答なパッシブデバイスを構成できるMRFは様々な分野で適用され、自動車分野においても活用が広まりつつある。MRFは、主に直径数μmの鉄粒子とオイルで構成され、磁場をかけると鉄粒子が磁束線に沿ってクラスタを形成し、流体の見かけ上の粘度が増大する（図1）。自動車分野ではこれまでに、MRFを用いたショックアブソーバやコニンジンマウント等が実用化されてきた。しかしながら、ブレーキやクラッチ等の回転方式のアプリケーションはほとhど実現されていない。回転方式のアプリケーションの一般的な構成を図2に示す。シャフトの先端に円板型のロータが取り付けられ、その周囲にMRFが存在し、回転軸シールで封止されている。ロータの径方向外側にはコイルが配置されており、コイルに通電し磁界を発生させるとMRFの見かけの粘度が高くなり、デバイスはブレーキやクラッチとして機能する。この方式のアプリケーションが実現され難い要因の1つは、MRFを封止する回転軸シールに非常に高い耐久性が要求されることである。